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OVAシリーズ「機動戦士ガンダム第08MS小隊」(C)サンライズ

"Gundam MS 08th"

 最初のテレビ放送のときだったと思うが、OBとして大学のクラブ活動に顔を出していたころ、後輩に誘われて活動後に彼らの下宿で観ていたのが「ガンダム」だった。地元の名古屋テレビが制作だったというのが興味深いところだが、地元のほかのテレビ局も結構SF好きが番組制作をしていたりして、「スタトレ」(宇宙大作戦)以来の恩恵をこうむっている。ガンダムのモビルスーツのデザインは、我々のような古いSFファンからすれば、明らかにハインラインの「宇宙の戦士」を参考にしていることはわかる。それが、日本のアニメ的に、大きなロボットと化してしまっているところにちょっと残念なものを感じる。
 「モビルスーツ」のスーツには、英語では鎧や服の一そろいという意味があるのだが、ここではそうではないらしい。正式な設定ではどのように日本語訳されているのかはわからないが、直訳すると「戦術宇宙汎用機器」というものの、英語の頭文字をとったものというのだ。そして、「ミノフスキー粒子」の散布下では電磁波が使えず、そのため従来のミサイルなどの誘導兵器が無効となり、接近戦が復活して「モビルスーツ」が生まれた、ということらしい。
 でも、「戦術宇宙汎用機器」というものが、人間型で二足歩行という必要があるのだろうか。「宇宙の戦士」のように人間が着るタイプのものであれば、人間が接近戦の兵力の中心である限り、鎧の延長線上に二足歩行というのはありそうだが、高さ18mで重さ43トンあまりという大きさの、現在の戦車より大きなものでそれは有用なのだろうか。姿勢安定の視点からは6足歩行でいいわけだし、これなら姿勢制御ももっと楽だろう。あるいは4足歩行でもいいかもしれない。地上戦なら、むしろ補助ロケットなどによるジャンプが有効かもしれないし、またそのような装備をガンダムでも採り入れているようだ。
 だが、問題は「宇宙」というところである。武器を持ち替える、つまり兵装を取り替えるためのパイロンという意味では「手」は必要だが、移動手段としての「足」は必要ない。それが端的に現れているのが後にガンダムに登場する兵器たちなのであろう。

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